Reprizes

Ryo Hamamoto Reprizes

Ryo Hamamoto Reprizes

品番:LFR027 / SMRK-001
※掲載品番に誤りがございました。
価格:2,200円(税込)
フォーマット:CD、Digital

Track List

中古のベンツ
ドライ・アイ
新しいミューズ
小指
ラリー・リレー
King Of Tie(タイの王様)
夏の空を
イノセンス

Ryo Hamamoto Reprizes

『Reprizes』 ライナーノーツを公開いたしました


Ryo Hamamoto TOUR 2024 『Reprizes』

TOUR 2024 『Reprizes』 開催決定


「中古のベンツ」 Music Video

Ryo Hamamoto「中古のベンツ」
2023年11月29日先行配信スタート


“Reprizes” Teaser

アルバム “Reprizes” について

2016年『THIRD』以来7年ぶりのアルバム作品となる本作『Reprizes』。新しいバンド編成、レコーディング方法の模索、コロナ期間が訪れたこと、さまざま重なったタイミングで製作された作品である。クラシック・ロック、フォーク・ロック的なサウンドを基本に、パワーポップやオルタナティブ・ロックの要素を意識した作品になっているものの、演奏、歌、ソング・ライティング、という骨格は以前と何も変わらず。世にジャンルは色々あれど、特定のサウンドをコンセプトにしたアルバムではない。 ベースにガリバー鈴木、ドラムとパーカッションには髙石晃太郎を迎え、エンジニア/ミックス/マスタリングは岩谷啓士郎、ドラムとボーカルRECの一部をStudio REIMEIにて新間雄介が担当。ソングライティング、ピアノ/キーボード、一部ベース、一部ドラムのレコーディングはハマモトが担当しているものの、それぞれ演奏者、エンジニア陣による総合的作品。  
過去最も模索とトライ・アンド・エラーを繰り返した作品といえるが、結果はシンプルにソリッドなロック・アルバムとなった。
 

Ryo Hamamoto

Ryo Hamamoto profile

Ryo Hamamoto

シンガー/ソングライター/ギタリスト。2004年頃からボーカル曲の作詞/作曲/歌唱を開始。以降リリース、ライブ活動、客演、コラボレーション、楽曲提供、訳詞、セッションなどを行う。並行して2011年から2016年ごろまでmooolsのメンバーとして活動した他、2018年からはAnalogfishのレギュラー・サポート・メンバーとしてギター、鍵盤等も担当。

参加アーティスト

ガリバー鈴木
ガリバー鈴木
(Bass)

ElectricBass/コントラバス/編曲。秋田県出身。夢見がちなうお座。猫動画ウォッチャー。写真が苦手。

高石晃太郎
高石晃太郎
(Drums, Perc.)

髙石 晃太郎(たかいしこうたろう、1990年2月18日-)は、日本のドラマー。宮崎県佐土原町出身。血液型B型。

Recorded by Keishiro Iwatani (Safe & Sound), Ryo Hamamoto, Yusuke Shinma (REIMEI)
Mixed & Mastered by Keishiro Iwatani (Safe & Sound)
Recorded at: Simerike Recordings, St-Robo, REIMEI

Self Liner Notes

1. 中古のベンツ

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at St-robo, Simerike Recordings, REIMEI

とあるスタジオで「57年レスポールって今値段どれくらいなの?」という話になり、車に詳しくないのにもかかわらず「中古のベンツ買えるくらいじゃん?」などと適当に言い放ったことがきっかけの曲。曲になりそうだから、と歌詞を書きはじめると、クレイジーホースとスプリングティーンがNEU!と一緒に日本語で歌う、というようなものに。というか中古のベンツもピンキリだろうし、今時レスポールの方がよほど高いだろう。J・ジョプリン「Mercedes Bentz」への返答歌、と言われればそう聞こえるが、多分あまり関係はない。

“理屈や値段じゃ説明できないもの”を描いているが、正直、車を所有するに越したことはない。便利だし。

2. ドライ・アイ

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

できるだけ長い曲を書こうとする癖があった反動で短い曲が書きたかったが、今回不意に書けた。
日本で言う作詞作曲と、アメリカのソングライティングは実はぜんぜん違うものだと思っているが、両方のバランスがうまく行った曲。

3. 新しいミューズ

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at St-robo, Simerike Recordings, REIMEI

パワーポップ的な音楽は、安易にやってもガワがそれっぽくなるだけだし、日本語だと尚更ノリも出しづらい、と思って敬遠していたが、ふと書いた。最初はバカバカしい曲だと思っていたが、愛着が湧いたので何通りもレコーディングした。
このアルバムにはそもそも習作的な面もあり、いつにも増して同じ曲を何度もRECし直してることも『リプライズ』(繰り返される主題)というアルバムタイトルの由来である。それに、どの曲も大体似たような主題を繰り返している。目新しさはない。目新しさはなくとも、“新しい”と感じられるものをもし作れたなら、それはいいことでしょう。

4. 小指

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

ある時“人ってのは、それぞれの局面で、人知れず自らと指切りをするものなのだな”、などと思ったようで、その際に書いたらしいが、それ以外のことはあまり覚えていない。ディキシーランド・ジャズなどで使われるテナー・バンジョーを弾いているが、ディキシーランド・ジャズにあまり関係はない。しかしギターソロは明らかにリチャード・トンプソンへのオマージュである。

5. ラリー・リレー

Vo. Gt. Ba. etc. Ryo Hamamoto Dr. 髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

映像作家、水落豊氏の依頼で書き下ろした曲を再録。“ただ繰り返されるばかりのことをどう肯定するか”という曲、だとは思うが、陸上トラックのことを歌っているだけ、とも言える。
そもそも映画の物語とセットで完結する曲のつもりで作ったが、曲単体でも悪くなかったので今回再録して収録された。髙石晃太郎によるヘヴィでおおらかなプレイが聴きどころ。

6. King of Tie(タイの王様)

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

小説家、保坂和志のエッセイ本などを読んでいた時に“一番讃えられるべきは、勝ちも負けもせず、引き分け(タイ)を続ける者なのだろう”と急に思い、その勢いで書いた曲。当初はアシッド・フォークっぽかったが、ガリバーのニューウェーブ/ポストパンク的絶妙なセンス、と髙石のドラムのアプローチによってザ・ポリス、スマッシング・パンプキンズ、ザ・キュアーあたりが変に混ざった曲になり大変満足している。タイ国のことを歌っているわけではないが、そうだとも言える。実際タイ国は一度も他国に占領されたことがないらしい。

7. 夏の空を

Vo. Gt. Ba. etc. Ryo Hamamoto Dr.髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

何もかもが停滞してたコロナの最中、通りがかった遊園地のゲート前で「くっそ、各所の事情がどうとか知らないけど、この閉塞感全てを未来永劫ぶっ飛ばしてやりたい」とヤケクソに思った。その時の空気や状況、個人的な事情などが重なって「いつか全部ぶっ飛ばしてどこへでも行って、暴力的なまでに羽伸ばしてやる」と思った。“クビキ”や、“しがらみ”なんて本当はどこにもないのかもしれない。僕らはどこへだっていける。

8. イノセンス

Vo. Gt. etc. Ryo Hamamoto Ba. ガリバー鈴木 Dr.髙石晃太郎

Recorded at Simerike Recordings, REIMEI

身近で出産が続く時期があった。幼い子供を見ていると、圧倒的に希望を感じると同時に、無性に悲しくなるのはなぜだろう。などと近所の銭湯で考えているうちに書いた。
ソフトロック、サイケ、グラム、ストーナー・ロックの要素を全部一曲で賄おうとするため異様に長い曲になったが、後奏のギターソロはデモのつもりで弾いたものを採用。
1テイクしか弾いていない。長すぎて最後まで聞いてもらえない可能性もあるけども、最後まで聞いてくれた方には、ただただ感謝と愛を。

余 談

どうもポピュラー音楽では、ジャンルやサウンドだけでなく、なんなら人種でまで分けられている感がある。けれども、そもそもR&Bもロックもマンシーニやらポーターも、あるいは英の伝承曲や米カントリー/ブルースも、モーツァルトもバッハもジャズもポストパンクもディランもグランジもF.オーシャンもアリアナもアデルも、本当は当然のように繋がりがあり、途切れることなく関連しあっている。なのに、そのことを当たり前に体感することが難しい。特に日本だと。

僕は、日本のポピュラー・ミュージックとやらが自分にとって一体なんなのか、今だによくわからないままだ。かといって「洋楽への憧れ」なども、そもそもない。たまたまアメリカで幼少を過ごしたことで、英語の歌の方が自然でノリが良く聞こえ、響きも内容も自分の人格形成やルーツに近く感じるから、自ずと英語曲の方を多く聴いてきただけ、である。でもその分、日本語の音楽との隔たりと、「自己矛盾」をずっと感じているし、ずっと引け目を感じている。

今回英語の曲が収録されていないのは、たまたま外された曲が英語の曲だっただけで、特に理由はない。だがいずれにせよ英語で歌うのなら、必然性が必要だ。英語の曲が好きだから、英語で歌ってみたいってだけで歌うのは、必然性がない。もちろん表面的なジャンル分けやコピーや音楽性のコスプレで遊ぶのは楽しいが、それだけでは甲斐がない。音楽は「趣味の良さ」を測るものでも、「知識の深さ」を讃えあうものでも、重箱の隅をつついて得意気になるものでもないはずだ。あらゆる音楽が関係しあい連続しているのに、それを体感できないまま、作家の個人史や趣味性に回収してしまうのも、ジャンルや固有名詞をあげ連ねるのも不毛だ。
声と身体性と、感情や記憶や展望や現状や思想や思考や他者との関係性が、どうにかしてやっとのこと曲になる。それを外に出す、ということがしたい。極めてシンプルな話だが、反知性主義のようなこととは違う。ドリップコーヒーみたいなものか。

納得ゆく楽曲を書き、歌い演奏すること。そんな当たり前のことしか前提とされていない今作に、トレンド的にも学理的にも目新しい要素など何一つないし、きっと今作のどこにも「新しい音」など無いだろう。でも僕は徐々に確実に、以前より楽しんで音楽を作り演奏できるようになっている。自己矛盾と共に歌い、演奏できるようになってきた。ならば、リリースをしたいし、また新作を作りたい。
そんな中での一作がこの『Reprizes』である。

もし、これを聴いてくれた誰かが、何かを感じてくれたなら、おそらく僕は少しだけ、この自己矛盾を肯定され、居場所が与えられた事になるかもしれません。何より、聞いてくれた方にとってそうなることを願っています。

CD取扱店

LIKE A FOOL RECORDS(東京)
DISK UNION
upslope records(滋賀)
stiffslack(名古屋)
further platonic(静岡ウェブディストロ)
・THROAT RECORDS(奈良)
TEN TWENTY DISTRO(新潟)

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